10月2日の決算特別委員会・港湾局の審査について

10月2日の決算特別委員会・港湾局の審査について
令和7年度決算特別委員会で、港湾局に対し、神戸港の港湾施設の更新と将来負担、神戸空港島の未利用地活用、神戸港の集貨・創貨政策、物流DX、みなとHANABIの開催方法と経済効果などについて質疑しました。今回の質疑では、将来の財政負担を見通した施設更新と、港湾・空港という神戸の重要な資産を、民間投資、雇用、税収、貨物創出などの具体的な成果につなげる視点を求めました。

① 港湾施設の老朽化―将来負担を見通した更新を
令和7年度決算では、港湾事業会計の有形固定資産減価償却率は53.0%となっています。神戸港には岸壁、防波堤、護岸、橋梁、臨港道路など多数の港湾インフラがあり、今後、更新や大規模修繕が順次必要となります。
【三木委員の質疑】 資材価格や人件費が上昇する中、10年、20年、30年という中長期的なスパンで、港湾施設の更新・改修費をどの程度見込んでいるのか。従来の維持更新計画についても事業費や更新時期を検証し、将来的な財政負担を見通して計画的に更新すべきではないか。
【当局答弁】 各施設を5年周期で点検・診断し、耐用年数全体を見通した改修計画を策定している。係留施設では耐用年数50年を見通し、部材ごとの劣化度に応じた改修時期と費用を算出し、ライフサイクルコストを把握している。さらに、施設ごとの改修見通しを集約した5か年の「予防保全計画」を毎年度更新し、劣化状況、施設の重要性、利用状況、財政状況、事業費の平準化を踏まえて優先順位を決めている。機能向上を伴う更新・改良を含め、近年の予算規模は毎年おおむね50億円から60億円程度。国の補助制度や長寿命化につながる新技術も活用し、コスト低減を図る。
▶ 30年先が不確実だからこそ、すべての施設を現在と同じ規模・機能で更新するのではなく、中長期的に施設の集約や機能転換も含めて検討するよう求めました。

② 神戸空港島 約60haの未利用地を「神戸の成長」にどうつなげるか
約270ヘクタールの神戸空港島には、現在約60ヘクタールの未利用地があります。2030年の国際定期便就航を見据え、この土地をどのように活用するかは、今後の神戸の成長に関わる重要なテーマです。
【三木委員の質疑】 約60ヘクタールをどのような時間軸で活用し、どのような機能を配置していくのか。土地を利用すること自体ではなく、民間投資、雇用、税収など、神戸市にもたらす経済的成果を評価すべきであり、具体的な数値目標やKPIを設定してはどうか。
【当局答弁】 大きな方向性として「航空機関連産業をはじめとした成長産業の集積」と「賑わい空間の創出」を進める。造成・インフラ整備が完了した土地は方向性に合う事業者を募集し、造成が必要な土地は造成とインフラ整備を進める。KPIは用途ごとに求められる成果が異なるため現時点で一概に設定することは難しいが、民間投資、雇用、税収などの経済的成果を生み出すことは重要と認識している。
【三木委員の再質問】 2030年だけでなく、その先の空港機能拡張も見据え、航空関連産業、物流、研究開発、宿泊、商業など、どの機能をどこに集積するのか戦略的にゾーニングすべきではないか。また、設備投資額、新規雇用、市内企業との取引、税収など、KPIという名称にこだわらなくても、神戸市全体にもたらす経済効果を何らかの方法で把握すべきではないか。
【当局答弁】 2030年の国際化とその先の航空需要拡大を見据え、空港島全体の将来像を基に計画的な土地活用を進める。航空機関連産業などの成長産業は空港との近接性を生かせるエリアへの集積を検討し、賑わい空間はターミナル周辺の中央部への配置を考えている。企業誘致では、設備投資、雇用創出、既存企業との取引拡大など、地域経済への効果を重視して評価していく。
▶ 「土地が埋まったか」ではなく、「その土地からどれだけ民間投資・雇用・税収が生まれたか」という成果で評価する視点を求めました。
③ 「集貨」だけでなく、神戸から貨物を生み出す「創貨」へ
令和7年度の神戸港の外貿コンテナ取扱貨物量は前年を下回りました。国際航路の再編や海外経済の動向など、神戸市だけでは対応できない要因もあります。
【三木委員の質疑】 人口減少が進む中、他地域で発生した貨物を神戸港へ呼び込む「集貨」だけでは、将来の貨物量確保には限界がある。集貨インセンティブについても、投入した公費に対してどれだけ新規貨物を獲得し、支援終了後もどの程度定着したのか、費用対効果を検証すべきではないか。今後は神戸港を利用する企業そのものを神戸に誘致・育成し、神戸から新たな貨物を生み出す「創貨」を強化すべきである。港湾局が持つ貨物動態データを活用し、企業誘致、新産業育成、海外市場開拓、神戸港からの輸出までを一つの政策サイクルとして、都市局・経済観光局などと企業誘致戦略を組み立ててはどうか。
【当局答弁】 集貨支援の効果は毎年、貨物量の実態調査や船会社・荷主へのヒアリングなどで確認している。内航フィーダー貨物の継続利用支援では、前年実績と比較して対象貨物量のほぼ全量が維持されている。また、過去5年間に支援した航路は、船社アライアンス再編に伴い他航路でサービスを維持しているものも含め、現在まで維持されている。創貨は重要と認識しており、都市局と定期的に企業誘致方針を協議している。今後も都市局、経済観光局などと連携し、神戸港を利用する企業の誘致に取り組む。創貨の効果を測る指標についても、具体的な誘致活動の中で検討する。
▶ 港湾政策と産業政策を一体化し、「神戸港を利用する企業を何社誘致したか」「そこからどれだけ新たな貨物が生まれたか」という成果につなげることを提案しました。

④ 新モーダルシフト・物流DX―次世代の物流拠点へ
【三木委員の質疑】 創貨・集貨に加え、新モーダルシフト、物流DX、自動化など、新しい技術を含めて神戸港を次世代の物流拠点としてどう機能させていくのか。
【当局答弁】 新しい技術を活用した物流形態の変化が起きており、民間倉庫でも最新の自動化技術を活用した施設整備が進みつつある。社会情勢の変化や新たなニーズを把握しながら、物流DXや脱炭素など多角的な視点で神戸港の将来を考えていく。
⑤ みなとHANABI―5年間の実績を検証し、より満足度・経済効果の高い形へ
現在のみなとHANABIは、10月の平日に5日間に分散して開催されています。コロナ禍前の「みなとこうべ海上花火大会」は1日で約30万人が来場していました。
【三木委員の質疑】 現在の分散開催には混雑緩和や安全性確保のメリットがある一方、「打ち上げ時間が短い」「もう少し迫力のある花火を見たい」「以前の花火大会を復活してほしい」といった市民の声もある。「1日集中型」か「5日間分散型」かの二者択一ではなく、現在の方式を5年間実施してきた実績を一度検証し、より市民満足度や経済効果の高い開催方法を検討する時期ではないか。市外からの来訪、宿泊、飲食・商業施設での消費、公共交通の利用など、経済効果をどこまで把握しているのか。
【当局答弁】 昨年のみなとHANABIは5日間で延べ約10.7万人が来場し、アンケートでは市内から6割、市外から4割だった。終了後に周辺事業者へヒアリングを行い、商業施設から期間中の前年比売上が上昇した、レストランでは花火鑑賞食事プランが好評で満席だった、といった声を把握している。今年度はアンケート項目を充実するとともに、イベント前後の動向を確認して実態を検証していく。
▶ 安全性を確保しながら、市民満足度と神戸経済への波及効果の双方を高める開催方法を、データに基づいて検討するよう求めました。
質疑を通じて
神戸港と神戸空港は、神戸の将来を支える重要な都市基盤です。施設を維持するだけ、土地を埋めるだけ、貨物を集めるだけではなく、「将来負担をどう抑えるか」「民間投資・雇用・税収をどれだけ生み出すか」「神戸から新しい貨物をどう生み出すか」といった成果を検証し、次の施策や予算に反映していくことが重要です。引き続き、数字と成果に基づく港湾・空港政策を求めていきます。
